ハナちゃんの足跡

~最愛の友だちを記念して~


さようなら、ハナちゃん ハナちゃんの在りし日の姿 小太郎と小次郎 過去の日誌
ハナちゃん 小太郎 小次郎

2002年6月2日(日)

6月になった。夏の訪れ。日韓共催FIFAワールドカップの、浦和での試合も始まる。浦和レッズのみのサポーターである僕には、W杯は関係ない。ただ、観戦する人たちのために、よい天気が続くことを願おう。6月は雨の季節だから。

雨は、天の恵みには違いないけれど、僕はあまり好きではない。水が嫌いだったのに、ハナちゃんは雨の日でも外へ出かけた。帰ってくると、床を濡れた足跡で汚していく。無邪気なハナちゃん。そんなことも、雨が嫌いな理由に追加されていた。もともとの理由は、自転車で遠出ができないこと。夏、なるべく炎天下を自転車で走り、誰もいない公園の芝生に寝転ぶ。それが、僕の“趣味”だった。残念なことに、浦和の夏は、梅雨で多くをつぶされる。

けれど、この2年間、あまり自転車で遠出をすることがなかった。雨の日が多かったからではない。ハナちゃんがいたからだ。初めの頃は、いつハナちゃんが遊びに来るかわからないので、なるべく家を空けないようにした。ともに暮らすようになってからは、家にひとりぼっちで閉じ込めておくのがかわいそうだったから、なるべく僕は家にいた。僕が、ハナちゃんと一緒に居たかったともいえるだろう。この世界の回転軸のひとつは、確実にハナちゃんとの生活だった。地球は、ハナちゃんを中心にして回転していた。それまでの習慣は苦もなく変わり、あたりまえのリズムになって僕の生活を律していた。

その回転軸は突然折れ、雲散霧消してしまった。今日は、梅雨前のまぶしい日差しが照りつけている。それでも僕は、自転車で外へ飛び出す気分になれない。自然に変えていった生活が、前触れもなく、以前の状態に戻ってしまった。雨の日に、床を汚される心配もしなくていい。晴れの日には、遠出をしてもいい。そして、外では太陽が呼んでいる。ハナちゃんの鳴き声は、もう、そこにはない。

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